このページでは, 紀宮殿下と黒田慶樹氏のご婚約内定についての記者会見の模様をお伝えします。
それでは,早速質問させていただきます。 まず今日の日を迎えて率直な現在のご心境をお聞かせください。
午前に,陛下よりお許しをいただいて,こうして婚約内定の発表を行うことができましたことを大変嬉(うれ)しく思っております。ただ,18日に高松宮妃殿下がお亡くなりになり,この日をご一緒に迎えていただくことのできなかったことを大変残念に思っており,また,災害の多かったこの年の暮れに,インドネシア・スマトラ島沖の地震によって,日本人を含む非常に多くの犠牲者が出たことに対して,深い悲しみを覚えております。このような時期に発表を行うことを心苦しく思っておりますが,すでに二度の延期を経てきたことでもあり,皆と相談の上,年内に発表することにいたしました。
これまでの過程を優しい眼差し(まなざし)で見守ってきてくださいました両陛下,そして黒田さんのお母さまに深く感謝申し上げております。また,お付き合いを静かに支えてくださった秋篠宮両殿下を始めとする方々にも御礼を申し上げたく存じます。先月の14日以来,正式な発表前ということで多くの方々が控え目にお祝いを述べてくださるのを,有り難くも申し訳ない気持ちでおりましたので,そのことについても今は少し安堵(あんど)しております。
天皇陛下よりご裁可をいただきましたこと,誠にありがたく存じております。
本日に至りますまで,天皇皇后両陛下には温かくお見守りをいただき,秋篠宮同妃両殿下には格別のご配慮をいただきました。また,多くの方々のお力添えをいただきました。今は感謝の気持ちでいっぱいでございます。
それでは2問目に移ります。 お二人が出会いから交際を経てご婚約の意思を固められるまでの経緯について,その折々の心境も併せて具体的にお聞かせください。
昨年の1月に,秋篠宮殿下が主催され,亡くなられた親しい知人を偲(しの)ぶテニスと懇親会が赤坂にて行われた際に,出席した懇親会で久しぶりに黒田さんとお会いいたしました。私が小学生のころは,お背が高くていつもまじめなお顔をしていらっしゃる方という印象が強くございましたが,しばらくぶりにお会いして,とても温かな笑顔で人々の中に入っておられる姿が心に残り,またお話も楽しくいたしました。それからは,主に秋篠宮邸でお会いすることが多くございましたが,少しずつお話を重ねていく中で,だんだんと自然に結婚についての意識が深まってまいりまして,今年に入って大体の意思を固めました。
久しぶりにお目にかかったときの宮さまは,常に細かいお心配りをなさり,また,どなたとも楽しそうにお話をなさっておいででした。私もそのときお話をさせていただくことが大変楽しく,また心の安らぎのようなものを感じておりました。その後何度かお目にかかり,お話を重ねさせていただくうちに,やがて結婚ということを意識するようになっていった次第でございます。
続いてはみんなが大変聞きたい質問だと思いますが,プロポーズの言葉は,どういう言葉で,いつ,どのような状況であったのでしょうか。その後,両陛下,黒田さんのお母さま,秋篠宮ご夫妻にご婚約を報告されたときの様子を含めてお聞かせください。
時期につきましては,今年の初めであったかと存じます。私から宮さまに「私と結婚してくださいませんか」と申し上げました。場所は秋篠宮邸で,確か,お茶をいただいていたときであったかと存じております。
私の母親にそのことを報告いたしましたときのことでございますけれども,母は私に「それは畏(おそ)れ多いことではあるけれども,あなたが決めたことなのだから,何事にも責任を持って当たるように」といったようなことを申したかと存じます。なお,秋篠宮同妃両殿下に対しましては,改まってご報告と申しますより,いつの間にかご承知おきいただいたというような形でございまして,本日発表の日を迎えまして,改めてすべてを大らかにお見守りいただきました両殿下に御礼申し上げたいと存じます。
お返事は,その場でお受けする旨を申し上げました。両陛下は,これまであまり多くをおっしゃらずに静かに見守ってきてくださいましたが,お話申し上げますと,とても嬉(うれ)しそうに微笑(ほほえ)まれて,「おめでとう」と喜んでくださいました。
また,秋篠宮両殿下は,基本的に場所を提供なさるというお立場に徹され,二人のことについては立ち入らずに静かに見守ってきてくださいましたので,こちらも改めて細かなことは申し上げておりませんでしたが,お尋ねがございましたのでお話申し上げますと穏やかに祝ってくださいました。
続きまして,それぞれお互いのどのようなところに惹(ひ)かれたのでしょうか。具体的なエピソードを交えてお聞かせください。
一つ一つのことをエピソードでお話するというのはできませんけれども,ご自分の考えをしっかりとお持ちになりながら,ゆったりと他人を許容することのできる寛(ひろ)さを持っておられるところや,物事に誠実でいらっしゃるというところでしょうか。趣味ですとか興味を持つ事柄についても,お互いに異なっていて余り共通点というのはないのですけれども,何を大事に思うかということについて共感することが多くあるということも,ご一緒にいて安心できると思うことの一つかもしれません。最近のことで申しますと,この度の発表の時期のことについてでございました。まだ中越地震の被害に苦しんでいる人が多くある状態の中で行うべきことではないと思いながらも,一方で時期を遅らせますと,例えば,スクープのような形で騒ぎが起こってしまい,そのような場合には,私よりもずっと黒田さんの方にご迷惑がかかるため,とても悩んでおりましたが,時期のことについてご相談申し上げたときに,自分の迷惑のことについてであるならばそれは気にせずに,今何を大切にすべきかということを最優先に考えようとおっしゃってくださいました。そのことは本当にありがたく,そうした感覚を共にできることをとても嬉(うれ)しく思いました。
宮さまはいつも細やかなお気配りをなさる,大変お優しい方でいらっしゃると同時に,様々な物事についてきちんとしたお考えをお持ちでいらっしゃる,というところに惹(ひ)かれました。
具体的なエピソードということでございますけれども,ある日ある時のできごとと申しますより,いろいろなお話をさせていただくうちに,徐々に理解が深まって,気持ちが固まっていったというような,そういったプロセスであったかと存じております。
それでは次にいきます。 皇族の立場を離れることについて,それから皇族の方を伴侶(はんりょ)に迎えることについて,それぞれのご心境をお聞かせください。
幼いころから,いつか結婚する場合にはこの立場を離れるという意識を持っておりましたので,新しい生活に入ることについての不安や戸惑いはあっても,皇籍を離れるということに対して,今改めて何かを感じるということは特にないように思います。両陛下も,結婚をした後のことはお心にお置きになりながらも,内親王という立場にいる間は,この期間をこの立場で実り多く過ごすということを大事に,育ててくださいましたので,私なりに,この立場で様々なことを見聞きし,体験し,心で感じて,本当に貴重な日々を過ごすことができたと思っております。そのことに,深い感謝の気持ちを抱いております。
確かに内親王さまをお迎えするということは責任も重く,私もずっとそのことについて考えてまいりましたけれども,今までお話を重ねさせていただいた中で,宮さまがお大切にお思いのことと,私が大切に存じておりますこととの間に,大きな違いというものを感じることはございませんでした。宮さまには,これからの生活の多くが新しいことで,ご不安をお感じになることも多くおありかと存じますけれども,私といたしましては,できる限りのことをさせていただきたいと存じております。
ご結婚後にどのような家庭像を思い描いてらっしゃいますでしょうか。両陛下,それから黒田さんのお母さまに伝えたい言葉と,併せてお聞かせください。
互いの考えを尊重しつつ,心安らぐ静かな家庭を築いていきたいと存じております。母への言葉ということでございますけれども,これはやはり,幸せな家庭を築くことが,最大の感謝の印になるのではないかと,このように考えております。
家庭像につきましては,大体同じように考えております。
それから両陛下に申し上げたい言葉でございますが,今は,その時期としてはまだ早いように感じておりますし,また,もし申し上げるにしても,直接にお顔を拝見しながらにしたいと思っております。
黒田さんにお伺いします。ご自身の性格であるとか趣味,それから都庁へ転職した理由や将来の目標などについてお聞かせください。
ただいまのご質問,都庁の採用試験の面接以来のご質問でございます。とにかくお答えいたします。まず性格でございますけれども,基本的には冷静,あるいは鈍いと申しました方がより正確かも存じません。とにかく何かが起きましても割合のんびりと構えている方でございます。
次に趣味でございますけれども,趣味は多々ございますけれども,大きなものは自動車と写真の撮影でございます。自動車に関しましては一般的な運転に加えまして,古い昔の自動車を見せていただいたり,機会があれば乗せていただくことが大きな楽しみとなっております。それから写真の方でございますけれども,一般的な写真撮影もいたしますし,最近では,昔の機械式のカメラや昔のレンズに触れまして,先人の工夫の跡であるとか,思いであるとか,そういったものに接することが大きな楽しみになっております。ですから,最近はそういう古い機材を使って撮影をすることも多くなってきております。
次は転職した理由でございますね。これは公共の仕事に携わりたいという思いであったということに尽きるかと存じます。
それからあと,将来の目標ということでございますけれども,今申し上げられることは,都庁の職員といたしまして都民の皆さまのお役に立つべく,日々の仕事を大切に務めていきたいということになるかと存じます。